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現行の法律がどうなっているか

麻薬五法(麻薬関連の法律全部)

このうち、現在の取り組みに直接関わってくる法律は
麻薬及び向精神薬取締法
です。

これによる麻薬の定義はどうなっているかというと、

第二条
”一  麻薬 別表第一に掲げる物をいう。”

別表第一
(注1:一 〜 七十五まで麻薬200コくらい指定。省略)

これが麻薬です。これに加えて麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令があり、この中にDMTが入っています。

ということで、ここに名前が挙がったものが麻薬です。しかし「自然界にもいっぱいある物質じゃないか、植物全部規制して引っこ抜くのか?」と疑問が出てきます。
結論から言うと、引っこ抜いている植物も数種あります。当然その植物は使いません。

別表第一
”七十六 前各号に掲げる物のいずれかを含有する物であつて、あへん以外のもの。ただし、次に掲げるものを除く。

   イ 千分中十分以下のコデイン、ジヒドロコデイン又はこれらの塩類を含有する物であつて、これら以外の前各号に掲げる物を含有しないもの
ロ 麻薬原料植物以外の植物(その一部分を含む。)”

「麻薬原料植物以外の植物は大丈夫!」ってはっきりと書いてくれているんですね。
この七十六:ロの一文により、日本中のマメ科アカネ科雑草が自衛隊に引き抜かれずにすんでいます。

では麻薬原料植物とは何かというと、

第二条
”四  麻薬原料植物 別表第二に掲げる植物をいう。”

別表第二
”  一 エリスロキシロン・コカ・ラム(和名コカ)
二 エリスロキシロン・ノヴォグラナテンセ・ヒエロン
三 パパヴェル・ブラクテアツム・リンドル(和名ハカマオニゲシ)
四 その他政令(↓)で定める植物 ”

麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令

”(麻薬原料植物)
第二条  法別表第二第四号の規定に基づき、次に掲げる植物を麻薬原料植物に指定する。
一  三―〔(二―ジメチルアミノ)エチル〕―インドール―四―イルリン酸エステル(別名サイロシビン)及びその塩類を含有するきのこ類(厚生労働大臣が指定するものを除く。)
二  三―〔二―(ジメチルアミノ)エチル〕―インドール―四―オール(別名サイロシン)及びその塩類を含有するきのこ類(厚生労働大臣が指定するものを除く。)”

というわけで、コカとケシとマジックマッシュルームがそれです。あへんと大麻はまた別枠で規制されてます。
もしお茶が規制されるとしたら、ここにアカシアとヤマハギとマイハギとハッショウマメその他色々が載ることになるでしょう。

 

ちなみに抽出されたDMTが関係するのは先の「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令」のうち

”第一条  麻薬及び向精神薬取締法 (以下「法」という。)別表第一第七十五号の規定に基づき、次に掲げる物を麻薬に指定する。〜〜三十五  三―〔二―(ジメチルアミノ)エチル〕インドール(別名DMT)及びその塩類”

 

という部分ですね。上の注1:のところで規定されています。

これが生得的に含まれる草は取締法第二条:別表第一:七十六:ロの規定により大丈夫で、これが人の手で振りかけられた草は取締法第二条:別表第一:七十五:政令第一条:三十五によりしっかり逮捕される、というわけですね。

 

抽出がダメでお茶はいいの? という真っ当な疑問については、

東京都福祉保健局

のページに答えがありました。

”非医薬品リストに掲載されている原材料から、水やエタノール以外の溶媒によって抽出したものは、その抽出された物質が医薬品成分に該当しないかどうか確認する必要があります。”

なるほど、水やエタノール以外。つまりお茶と焼酎漬けは許されているんですね。これがアセトン使ってスタス・オットー法なんかで分画抽出しちゃったら完全アウトなわけです。

 

ここまでのほとんどの法律がお茶に関して肯定的な見方をしています。

ただしこのたび違法ドラッグの煽りを受けて、厚生労働大臣が「これやばいんちゃうん?」って疑いを持っただけで禁止にできる法律ができました。

それが薬機法。

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律

第十四章 指定薬物の取扱い

長いので要約すると、

・厚生労働大臣か都道府県知事が「これやばいんちゃう?」と思った製品は広告から販売まで全部一旦禁止!(第七十六条の六

・検査受けてね。受けた結果を見て指定薬物かどうか判断するよ

・立入検査もあるよ

・疑いを受けた後、おとなしく指示に従ってくれたら逮捕まではしないよ(第七十六条の七、七の二)

 

というわけで、やってみてダメだったら向こうさんがきちんと「ダメ」って言ってくれるので、言われたら素直に従いましょう。その際下される中止命令、廃棄命令には粛々と従うこと。この命令に従わずに営業を続けた業者が見つかった範囲内だけで二件逮捕されています。

 

ちなみにモクロベミドやベンゾジアゼピンなどの薬。これらの授受や売買は同じく医薬品医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)で禁止されています。
自己責任による個人輸入は今のところ適法ですが、最近デパスが向精神薬指定されて輸入禁止になったばかりです。モクロベミドもそのうち指定されるでしょう。

現行法の解釈としてはこんなところです。ただし今後は食品衛生法や医師法、関税法なども関わってくることが予想されます。法律は日々更新されており、今後どうなるかはわかりません。

 

※2018/07/11追記:弁護士の方にリーガルチェックをしていただきました。その結果を以下にお伝えします。

 

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本件では、「お茶」の作成、所有、分割包装、売買、服用、書籍やウェブサイトでの情報提供が行われるものと理解しております(輸出入はこの際置いておきます)。

これらは、社会通念上それぞれ、「製造」(麻薬取締り法20条1項、以下単に「法」とします)、「所持」(同28条1項)、「製剤」・「小分け」(同22条)、「譲り渡し」(同24条1項)、「譲り受け」(同26条1項)、「施用」(同27条1項)、「広告」(同29条の2)には、あたってしまうと思います。少なくとも、実務は当たると考えるのが普通でしょう。
問題は、「お茶」として流通される物質が、「麻薬」(同2条1号)か否かでしょう。
行為態様でアウトと考える以上、「麻薬」性の有無が問題です。

「麻薬」に関しては、条文に定義があります。法2条1号、別表第1第75号、麻薬等に関する政令(以下単に「政令」とします)1条35号により、DMTが「麻薬」であることは明らかです。
他方、法別表76号ロにより、アカシア等が「麻薬」でないことも明らかです。
では、アカシア等に加工を加えていくプロセスの中で、どの段階から「麻薬」性を帯びるかというのが、突き詰めるとこの問題の核心です。
行為から考えるのではなく、物質の状態から考えるべきでしょう。

①アカシア等生体または死亡体
②粉末状態
③水出し状態
④湯で煮出した状態
⑤湯にクエン酸を加えた状態
⑥さらにゼラチンで清澄した状態
⑦水を完全に蒸発した状態
⑧エタノールで抽出後に乾燥した状態
⑨アセトン抽出した状態
⑩DMTを純化し分離した状態

①→⑩の順番で、より「麻薬」性が強くなっていくことと思われます。
ここで、はっきり言えることは、①が適法で、⑩が違法であるということだけです。
これは、条文があるので、間違いありません。

他方、②~⑨についていうと、このように「ある『麻薬』成分を含むが、それ自体は適法であり『麻薬』ではない物質を『麻薬』に近づけていくプロセスのなかで、どの段階から『麻薬』となるか」について、明言している先例が見つかりませんでした。
そうすると、適法性については、「現段階ではわからない」というのが、責任を持った答えとなります。
また、②→⑨の順番で、法的リスクは大きくなると言えるでしょう。
もっとも、小職は、さすがに②は加工の程度が低く(単に粉砕しただけ)、「麻薬」と呼ぶことはほとんど無理であろうと思います。また、国内にも流通しているようなので、一般にも(つまり社会通念)、「麻薬」とは考えられていないでしょう(ただ、どこかの掲示板でアカシア粉末が輸入できなかったという情報を見たのですが、そのような判断を下した権限者は、②が既に「麻薬」であると判断したのかもしれません)。

私の調査では(本法のようなマイナーな法律で全ての下級審判例を調査することはできませんので、practicalな範囲での調査です。そもそも本法の判例が全て公開されているとも考えていません)、最高裁判例でも下級審判例でも、どの段階から「麻薬」性を帯びるかについての、基準を明言するものがありませんでした。

これは、ある意味当たり前のことで、多くの「麻薬」では、こういった基準が問題とならないからだと思います。
自然界に通常存在しない物質を化学合成により作出するタイプの「麻薬」(LSD、MDMA、フェンタニル)では、その物質が発生した時点で「麻薬」とすればよく、特に基準を持ち出す必要はありません。
他方、自然界に存在する「麻薬」物質に加工を加えるタイプの「麻薬」(コカイン、アヘン)ですと、通常その原材料自体がすでに「麻薬」であり、やはり特にどの段階から「麻薬」となるかを論じる必要がありません。
そういうわけで、本件のように「ある『麻薬』成分を含むが、それ自体は適法であり『麻薬』ではない物質を『麻薬』に近づけていくプロセスのなかで、どの段階から『麻薬』となるか」というレアケースについての判断がないのだと思うのです(サン・ペドロやペヨーテからメスカリンを段階的に抽出していくプロセスがあるとしたら、同じ問題が生じると思います。しかし、そのような事例も発見できませんでした。日本で行う人もほとんどいないでしょう)。

結論としては、①は適法、⑩は違法、②~⑨は現段階では適法性が不明、ただし、②については、一弁護士として違法というには無理があると考えている、とさせてください。
弁護士としてのアドバイスとなりますと、適法性がわからないものをお勧めすることはできませんので、②~⑨については、完全な自己責任でお願いしたい、ということになってしまいます。

ただし、前回申し上げたように、②~⑨が構成要件に該当するとしても、法律の錯誤、可罰的違法性、検察官が起訴に値すると判断するかという問題があります。そういったことを考えると、よほどの社会問題にならないと立件まではいかないのではないかと考えています。むしろ、立法により将来的に違法とされる(マジックマッシュルームのように)ことを予想しています。

なお、これは麻薬取締法とその関連法規についての調査です。余裕があれば薬事法についての調査もした方がよいかもしれません。

 

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ということでした。当初考えていた東京都福祉保健局の見解は局運営者としての見解であり、法に依拠したものではないことがわかりました。

しかし協会の方針としては、飲む人の安全のために⑥まで踏み込んで活動を行っていくこととします。しかしどこかから怒られが発生したらすぐに②まで引き上げて是正します。

2 comments
  1. サイケ

    お茶と焼酎漬けは許されるとありますが、お茶は水ですし焼酎はエタノールですよ。
    サイコアクティブ物質は素晴らしいポテンシャルを持っていますし、是非とも研究を続けて、広めていって欲しいです。決して脅しで書いたわけではないですし、むしろ私は肯定的ですが、この記事にある合法根拠は滅茶苦茶だと思います。

    1. 通りすがり

      コメントから5ヶ月後ですが、拝見したので返信いたします。

      ”非医薬品リストに掲載されている原材料から、水やエタノール以外の溶媒によって抽出したものは、その抽出された物質が医薬品成分に該当しないかどうか確認する必要があります。”

      この文が示すように
      「水やエタノール以外の溶媒によって抽出したもの」→「医薬品成分に該当しないか確認が必要」
      つまり
      「水やエタノールで抽出したもの」→「医薬品成分に該当するかどうかの確認はいらない」
      医薬品成分に該当するか確認が要らないので「水やエタノールで抽出したもの」は「医薬品成分では無い」ことになります。
      よって、お茶と焼酎漬けは問題ないということが言えます。

      こちらの記事を「現在の法律にて、お茶は完全に違法とは言えないが判例がないので分からない」と私は解釈いたしました。
      お茶を試す際は、まずはこちらの記事を読み、実際にやるかどうか判断することをお勧めいたします。

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